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培ってきた鍛造の技術を活かし精度の高い工具を一貫生産するトップ工業株式会社

こんにちは。株式会社MGNET(以下、MGNET)所属三条市地域おこし協力隊の渡邊です。MGNETでは入社1年目のスタッフで「新人ズ」を結成し、地域を学ぶことを目的として色々な企業、店舗へお話を伺いに周っています。

 

そんな中で今回は、ふるさと納税に返礼品を提供しておられるトップ工業株式会社(以下、トップ工業)の常務丸山さんと業務部山本さんにお話を伺いました。

 

新潟県三条市を拠点とするトップ工業は主に、レンチをはじめとしたボルトを締結する工具を製造しています。

 

建物・家電製品・自動車など、私たちの生活に必要なあらゆるものに共通して使われるボルト。部品同士を締め付け固定する役割があります。そして、このボルトを締める工具がレンチです。

トップ工業の軍需工場から始まった歴史やレンチをはじめとした工具の魅力についてご紹介します。

 

始まりは飛行機部品の製造から

 

トップ工業は1939年に北越機械工作株式会社として創業。地場の有力者の有志がが中心となって出資し、設立されました。

 

当初は軍需工場で、現在群馬県太田市にある中島飛行機株式会社(現在のスバル)から仕事を受注していた時期には中島精密鍛造株式会社として経営されていた時期もあります。戦闘機「隼」のパーツも作られていたそうです。

 

地域の全面的な支援により設備への投資も積極的に行い、一貫生産という現在のトップ工業の強みができていきました。

 

トップ工業として初めて工具を販売したのは、戦後からの1945年のこと。トップ工業として第1号となる工具はモンキーレンチでした。型を上下両側面から押し付けて成形する仕組みの鍛造では難しい加工も、モンキレンチの製造に注力することで短い期間で実現したそう。

 

戦後には、飛行機部品の加工の基礎となった製造に用いていた鍛造技術と製造の工程を自社の工場で一貫して行える強みを活かして、本格的に工具メーカーとしての道を歩み始めました。

 

ところで、工具はどのような技術を用いて作られるのでしょうか。トップ工業が創業当時から受け継ぐものづくりの技術、それは鍛造です。

 

鍛造とは、金属を加熱して叩いて形を作る加工方法のこと。金属の材料を溶かして成形する溶接や鋳造と異なり、鍛造は材料の結晶構造を変えずに形を変えることができるため、金属材料の強度を高めることができます。

 

 

鍛造という技術は三条市の産業の歴史とも強く繋がっています。

 

三条市の産業の始まりは、鍛冶職人が和釘を製造する方法を農民に伝えたこと。当初は農民が冬の間の副業として行っており、そのうちに専業にする人がみられるようになりました。

 

信濃川が流れていることで、新潟港で加工された出雲の砂鉄が信濃川、五十嵐川の水運を利用し三条市とその近辺に入ってきたことも産業の発展に繋がっています。

 

明治に入ると和釘の需要は減少しておいったものの、それに変わる新たな製品がさらに広がっていきました。鍛造は鍛冶をルーツに持つ三条のアイデンティティとも言える技術なのです。

 

強みを活かし、時代の変化に対応

大きな変化は、1971年にも起こりました。ニクソンショックと呼ばれる固定相場制の終焉とともに、円高ドル安となり、採算の合わない輸出産業が縮小するという懸念が広がりました。

 

これをきっかけにトップ工業は市場を海外から国内へ移し、それにより主力商品も建築用のラチェットレンチへと変化しました。

 

1990年には電動ドライバーなどの工具の先端に取り付ける、先端工具を初めて販売。トップ工業には現在2000種類にも及ぶ工具があるなかで、先端工具は最大のラインナップとなっています。

 

丸山さんは「先端工具に継ぐ主力商品を創っていきたい」と意欲的におっしゃっていました。

 

 

頻繁に更新されているTwitterなどのSNSではトップ工業から発信することやお客様の商品の反応を見ることを日常的に行っていますが、それだけでなく、お客様の声から商品化に繋がった事例もあるそうです。

 

「細かなニーズに答えることができるのは、自社で一貫生産を行っているからこそ」と山本さんはおっしゃっていました。

 

レンチは“職人の手の代わり”

 

最近リニューアルした「モンキレンチ HX」は、258mm,、208mm、159mmの3丁セットでふるさと納税に出品されています。このようなセットはふるさと納税限定だそう。

 

「極上のスタンダード」と謳っているように、トップ工業のレンチのスタンダードとして幅広く愛されています。

 

それでは、プロも愛用するトップ工業のレンチの特徴についてご紹介します。

 

 

まず、口の開く幅。JIS規格サイズからさらに+ 2〜4mmワイドに口を開くことができ、1本で様々な大きさのボルトやナットに対応します。

 

次にレンチの機能性に大きく関わるウォームです。ウォームとは、レンチの下アゴを動かすねじのパーツです。ウォームに使用されている部品は「角ネジウォーム」。縦方向のガタを抑え、レンチがずれたり、ナットが傷ついたりすることを防ぐことができ、快適にボトルやナットを締め付けることができます。

 

 

レンチの形状もトップ工業ならでは。他メーカーの上アゴと下アゴより先端の形がシャープに設計されています。これにより、容易に奥まで入りやすく、限られたスペースでもナットを締結することができます。

 

また、安定した品質を提供できる国内の製鉄会社からクロムバナジウム鋼を仕入れており、確かな強度を持っています。鍛造から熱加工も自社の工場で行っています。

 

数ある商品の中でも主力の商品の一つであるモンキレンチ。一生を通して使うことができるほどの強度を誇り、レンチは配管の工事や建設関係のプロの方で愛用している方も多いそう。職人の手の代わりとなる精度の高いレンチを製造しているのです。

 

お客様の信頼に繋がっている一貫生産

 

広く支持を得ている工具に加え、トップ工業の強みは一貫生産ができる体制。金型から組立まで自社で一貫して製造しています。

 

製造の工程は、マーケティング、設計・製図、金型、鍛造、機械加工、熱処理、ロボット研磨、メッキ、組み立て、製品検査、包装の流れです。

 

ものづくりの始まりは、マーケティングと設計・製図。商品を販売している店舗や工事現場でのヒアリングを通して求められている工具を知り、蓄積された技術のノウハウをデータ化して共有し、効率的で迅速な設計を行います。

 

次にものづくりの現場は工場へ。ものづくりは金型の製造から行います。自社で行うことで設計とフィードバックを迅速に行うことができます。

 

金型を製造したら鍛造の工程に移ります。鍛造はまず素材を1200度まで熱し、エアハンマーで成形します。成形後はバリ(加工の際にできた余計は出っ張り)をロボットを使い取り,工具の原型を作ります。

 

 

機械加工での成形が完了したら、熱処理を行います。約800℃まで熱し、冷ますという工程で組織を均質化させ、目的にあった強さとしなやかさを備え付けます。

 

その後、必要に応じロボットで研磨し、組立と製品検査を行います。

 

製品検査では、傷やメッキ不良の部分がないか確認したり、下アゴ・ウォームの動きを確認したりしています。

 

この全ての工程を自社工場で行っているなんて、驚きです。

 

「工場見学で感動される方も多くいらっしゃいます。」と山本さん。 

 

通常一般公開はできないのですが、お取引がある会社さまにご覧いただく機会があるそうです。実際に映像で見たい方はこちらをご覧ください。

 

今回は、トップ工業についてご紹介しました。

 

三条市を拠点とするトップ工業は、80年以上にわたりレンチをはじめとした精密で丈夫な工具を製造してきました。その高い品質と一貫製造の信頼性は、多くのプロフェッショナルから支持され、世界中で使用されています。三条市で生まれ、世界中で愛される工具メーカーがあることはとても誇らしいことだと思いました。

 

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企業情報

トップ工業株式会社

〒955-8678; 新潟県三条市塚野目2190番地

TEL:0256-33-1681

FAX:0256-34-7617

企業ホームページ:https://www.toptools.co.jp/