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次々と展開していくキッチン用品!消費者の声を大切に伝統×技術で魅了させる下村工業株式会社
こんにちは!
株式会社MGNET(以下、MGNET)所属三条市地域おこし協力隊の渡邊です。
MGNETでは入社1年目のスタッフで「新人ズ」を結成し、地域を学ぶことを目的として様々な企業、店舗へお話を伺いに周っています。
そんな中で今回は、ふるさと納税に返礼品を提供している下村工業株式会社さま(以下下村工業)へ伺いました。
キッチン用品が所せましと並ぶショールーム。包丁、キャベツピーラー、千切り器など、用途に特化した商品の数々は見ていて飽きることがなく、そのアイデアに感嘆するばかりです。
これらのキッチン用品を企画・製造・販売しているのは、三条市にある下村工業株式会社。
包丁の「匠UN-RYU」「村斗」、調理道具ブランド「Pro grade」をご存知の方も多いのではないでしょうか。
下村工業は創業時から「新たなことへの挑戦」を信念とし、様々な商品に着手・展開してきました。現在も消費者のニーズに寄り添った商品を開発し続けています。
消費者の心をがっちりと掴む秘訣やキッチン用品製造のこだわりなどを下村工業株式会社 代表取締役社長の下村達大さんに伺いました!
新しい分野へ攻めの姿勢を貫いた20世紀
創業は1874年。鍛冶屋として鎌などの農具用の刃物を生産していました。農業の機械化とステンレス刃物鋼という素材の登場が契機となり、1957年にステンレス包丁の生産にいち早く着手しました。
当時、包丁の原材料と言えば鋼。硬く切れ味が良いので重宝されましたが、錆びやすい点が難点でした。一方で、ステンレス刃物鋼は錆びにくくお手入れに手間がかからず便利。従来の鋼包丁と比べ、ステンレス包丁は生産額を伸ばしていきました。
さらに、ステンレスのキッチンツールの製造を開始した下村工業は業界内で高い注目を浴び、調理器メーカーとしての基盤を築きました。
その後も、さらに新たな分野へと進出。1980年代に、電動スライサー、セラミック刃、精密ニッパーなどの精密・機械刃物製品の製造を開始。
1990年代から、プラスチック樹脂成形ラインの本格的な稼働を開始し、ピーラーのような金属とプラスチックでできた調理小物の製造に着手。
このように、戦後の時代の移り変わりの中で下村工業は、包丁・キッチンツール・精密機器・樹脂製品と広く展開していきました。
生協の消費者が下村工業を変えた!?
このように拡大していくなかで、現在の下村工業を形作ったと言っても過言ではない出来事がありました。それは、1974年に着手した全国の生活協同組合(以下、生協)との共同商品開発です。
この取り組みによって、製品の使い手であるお客様から直接の感想や意見が下村工業に入ってくるようになったのです。
「お客様の生の声や情報がすぐに入ってくるようになりました。直接お客様の声を聴けると商品を改善するモチベーションも変わってきます。」
この変化は、現在、製造に加えて商品開発に強みを持つ下村工業に大きな影響を与えている、と下村さんは話します。
「生協の組合員の方は商品を使って感じたありのままの感想を伝えてくれるお客様です。」
2022年の世帯加入率は約39%にのぼる生活協同組合。下村工業は生協の組合員の皆さんから率直な反応を受け取ることができる環境で日々商品を開発・改善しています。
次々にブランドがシリーズ化され、多彩な商品が生み出されるワケ
下村工業は、以下のようなキッチン用品の自社ブランドを多数展開しています。
・フルーツとベジタブルを楽しく、かしこく調理する調理器シリーズ「フルべジ」
・切る、むく、おろすにこだわった調理器シリーズ「Pro grade」
約40年にもおよぶ生協との共同商品開発の経験は、現在の自社ブランド展開にも活かされているそうです。
「下村工業が製造のみをしている企業だったなら、企画を担当するのは問屋、販売店が主で、今頃下村工業は企画に対して受け身になっていたと思います。生協の組合員の方々からの直接の要望を形にしてきた経験が企画力に活かされています。」
「フルベジ」や「Pro grade」はターゲティングされた消費者に寄り添って企画されたシリーズ・ブランド。消費者のライフスタイルの多様化に伴い、個人の消費者をイメージして商品の色や用途などを決めています。
「フルベジ」は野菜やフルーツを楽しく、手軽に調理するためのアイデアが詰まったキッチン用品。食材ごとに特化した商品は、かわいらしいカラフルな見た目で幅広く種類が展開されています。
一方で、「Pro grade」は切る、むく、おろすにこだわった調理器具シリーズ。プロの調理道具の切れ味や機能にこだわり、使いやすさとデザインを追求した逸品です。
このように企画していく中でブランドのシリーズ展開はどんどんと増えていったそうです。
水砥刃付けでなめらかな切り口、こだわり抜かれた下村工業の包丁
下村工業がキッチン用品の中でも、設立当初から製造している包丁。
現在、下村工業を代表する包丁は
・ダマスカス包丁シリーズ「匠~UN-RYU~」
・切れ味と使いやすさを追求した包丁シリーズ「村斗」
の2つ。
2008年から販売されている「匠~UN-RYU~」は、目を引く独特な波紋が特徴的。
素材は、ダマスカス鋼という、異種の金属を積層し鍛造することで模様を浮かび上がらせた鋼材です。匠~UN-RYU~ の場合は、軟質と硬質のステンレスを交互に鍛造しています。
刀身の芯材には、コバルトを配合したVG10材を使用しており、硬度が高く良い切れ味が永く続く包丁となっています。伝統的な「水砥刃付け」が施されており、素材から製造技術など、こだわり抜かれた包丁です。形状も日本人の手に丁度良く馴染む大きさにつくられています。
また、製品名にもこだわりが込められています。「UN-RYU」の表記は「雲龍」。この言葉は昭和の文人、武者小路実篤氏の「龍と成れ雲自ずと来る」という言葉に由来しており、「毎日コツコツと行動すれば、徳がある」と意味します。下村さんの先々代がこの言葉を気に入っていたことから、包丁に「雲龍」と名付けたそうです。
2019年から販売されている「村斗」は、社名の「村」と変わることのない基準を表す「斗」を組み合わせ、1874年の創業以来大切にしている「使い手の気持ちによりそうものづくりの変わらぬ基準」を表現して名付けたそうです。
村斗Classicの刀身には、側面にステンレスを使用して研ぎやすい三層鋼でできています。雲龍と同じVG10材を芯材として、高硬度のステンレス刃物鋼に、切れ味の持続性を高める素材が添加されています。
また、刀身の重量感により切り込みが軽くなり、重量と重心のバランスが最適化されるよう設計。
ハンドルの柄元は細く、柄尻は太くなっており、握りやすく力が伝えやすい形状となっています。曲線の形状は職人の手磨きによってつくられています。
自社開発の測定器で品質の高い包丁を提供する
下村工業の包丁の製造における特徴は水砥刃付け。水砥刃付けとは、水をかけながら砥石で研ぎあげる刃付け方法のこと。加工時の摩擦熱による硬度低下を防ぐことができ、なめらかな刃先に仕上げることができます。
また、数値化により品質の高い包丁を製造していることも下村工業の包丁の大きな特徴の1つ。刀身の定量的な測定や刃先の断面における形状の測定をしています。
刃先の断面を測定する測定器は自社開発。力の入れようが伝わってきます。
包丁に最適な刃先の角度や形状に仕上がったか、測定顕微鏡などを使用し確認することで、目ではわかりにくい製品の誤差をなくし、製品の質をより高めることに努めています。また、職人の技の向上や若者の教育、お客様の包丁の対応においても活用しています。
包丁やキッチン用品を企画、製造、販売している下村工業。戦後、他分野に積極的に進出した展開力が、現在の次々とシリーズ化されていく商品から感じとれます。高い質を保つためにつくられた測定器の活用や、お客様について考え抜きお客様の声を改善に活かす姿勢に感銘を受けました。
これから「Pro grade」シリーズも豊富なラインナップでふるさと納税に拡大出品予定。お楽しみに!
【下村工業株式会社の返礼品はコチラ】
企業情報
下村工業株式会社
〒955-0033 新潟県三条市西大崎1-16-2
TEL:(0256)38-3311
FAX:(0256)38-3310
企業ホームページ:https://www.shimomura-kogyo.co.jp/